NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

 

あくまでネットフリックスの行った人事戦略で、どこでも適用できるものではない点には注意が必要な本。ここであげられる文化を全ての企業に、というのも行き過ぎと思う。成長している企業で、かつ個人によって業績が変わりうる産業が対象と考えるべきだろう。

本書は広告文句が少し扇動的すぎる面があり、帯にある業界最高水準の給与を払ったり、適さない人には辞めてもらうという点がインパクトがありすぎる。実際に読んでみると、解雇の話も次へ推薦したり、給与も特に重要な事業に投資するといった話で、ぱっと見の過激さよりも現実的な内容ではある。とはいえ、従業員に強いコミットメントを求める苛烈な会社であることには違いはない。

以上から、あくまでネットフリックスの話として読むべき本ではあるが、チームを効率的にリードしていくというマネージャー視点でも得られる示唆は色々あった。

以下のような点が特に示唆に富むと感じた。

  • チームが最高の結果を出すためには、全てのメンバーが最終目標を理解し、そちらに向かう必要がある
  • 事業の仕組みを全ての従業員は理解する/しようとすることで、より良い組織になる
  • 6ヶ月後のことを考えて、人材採用を行おう
  • カルチャーフィットは双方向に働く。企業にフィットするかだけでなく、フィットしていくかという点も大事だ

これらを達成するためには、マネージャーは動く必要がある。最終目標をはっきりさせ、それに責任をもち、事業の仕組みを理解できるよう推進する。採用活動も行う必要がある。自分ができているかというとそうでもない点もあり、省みないといけない点は多い。

ところで、意外な内容も妥当な理由があり、ロジカルに書かれた本なのだが、一箇所不安なところもあったので、このような素晴らしい人々でもたまにはおかしなことを言うのだなと凡人なりの慰めとして引用して感想を締めたい。

過去に採用したデータサイエンス部のとくに優秀な人材の履歴書を分析し、共通する特性を割り出した。彼らは音楽をこよなく愛していた。(中略) 彼らは左脳と右脳を自由に行き来できるからデータ分析に長けているのだと、彼女は結論づけた。

p.167